「泣いているのか?ユウヤ」
ハルトが訊ねた。
「泣いてねぇ、泣いてねぇよ・・・。バカ野郎」
ユウヤはそう言いながら顔を腕で拭いていた。
その後、ツキハの肩に乗るオコジョの写真はSNSなどで拡散され、「スキー場にナウシカ爆誕!」と話題になった。
そしてヒマリはケータさんにだけ耳の秘密を教え、森の中で長老猿とケータさんが話し合いを持った。ケータさんはオコジョの子に、時々人間に姿を見せるのであれば、棲み処から離れた場所で一瞬だけ、エサを貰ってはダメ、とアドバイスした。
森は春を過ぎ、夏になっても残された。森の開発計画への反対運動が再び息を吹き返し、レジャー施設を作る計画は完全に中止となった。
オコジョは毛が生え替わっても時々姿を見せるようになり、森以外の山の動物たちも人間と敵対することはなかった。
冬となり、スキー場は変わろうとしていた。個人の出資者や協賛企業が次々に現れ、ケータさんが中心となり、自然と共生する新たなプロジェクトが立ち上がろうとしていた。
エピローグに続く