『ほれ!せっかく来たんだ、ワシも乗せんか』
長老猿がヒマリを見上げてそう言った。
『じゃあ、こっちでいいや』
オコジョの子は隣のツキハの肩に飛び移った。
ヒマリは長老猿を肩車した。
会場中のカメラやスマホのレンズが一斉にオコジョを肩に乗せたツキハに向けられた。無数のシャッターが切られる。老いた猿を肩車して隣に立つヒマリは、まるでツキハの撮影を邪魔しているようだった。
「本当に見つからないだけだったんだ。・・・オコジョ、森に居るんだ」
ケータさんは声を絞り出してツキハに近付いた。
「だから言ったでしょ。ねっ!」
ツキハはそう応えた。
オコジョの子は凛々しく肩に立ち、再び一斉にシャッターが切られる。
「これは森から勝利者への最高の贈り物ですね。で、どうします?社長」
ケータさんが意地悪そうに社長に振った。
「厳しいな。・・・これが夢でないのなら善処します」
支配人は苦笑いをしながら答えた。
インタビューをユウヤはハルトたちと少し離れた所で見ていた。
「良かったな。ヒマリ・・・」
ユウヤが小さく呟いた。
つづく