「二人とも優勝おめでとう!特にヒマリ君、まさかのトリプルコーク、ビックリだったよ。あれは間違いなく公式戦を含めて大会一番のジャンプだった」
MCのケータさんがヒマリにそう話し掛け、多くの拍手と同意の声が寄せられた。
「えっ、あの、ありがとうございます。どうしても優勝したかったんです」
マイクを向けられたヒマリが応えた。
「それはどうして?」
「まだ、この森にはオコジョの家族が棲んでいます。人間に見つからないように隠れて暮らしているだけです。どうか、彼らの棲み処を無くさないでください。それに山を守っている神様の木を切らないでください」
ヒマリはそう話した。
「えっ、もうオコジョなんていないでしょ。ケータさんだって調査して言ってたじゃん」
どこからか声が飛んで来た。
「ぼくが調査した時には確かに見つからなかった。でも、別の場所から最近になって戻って来たのかも知れないね」
ケータさんが応えた。
「私も、今日のお昼休みにオコジョを見ました。人間に見えないだけでしっかり暮らしているんです。信じて下さい!」
ツキハが被せるようにマイクに向かって言った。
つづく