
「マリ、暴れたらダメだよ。もっとユウヤを見送りたいの?じゃあ、もう少しだけだよ」
ヒマリはそう言ってユウヤを追って慣れない雪道を横断し始めた。
ユウヤは向かって来る車に気付いた。しかし、足元を気にしながら歩いているヒマリは向かって来る車に全く気付いていなかった。
「ヒマリ、車が来る。戻れ!」
そのユウヤの声もヒマリには届かなかった。
マリにはユウヤの声が届いていた。向かって来る車にも気付き、鳴いてヒマリに伝えようとした。
『ヒマリ、危ないよ。逃げなきゃ』
マリの声はヒマリに伝わらない。
ヒマリが車に気付いた時には、もう車は目前だった。マリは自分が何とかしなければと思った。
『こっちに来るな!』
マリはそう叫んで車に向かって行った。
マリの気持ちなど関係なく、その車は向かって来たマリを弾き飛ばした。マリは歩道の植え込みの上に落ちた。マリは植え込みの雪の中で、口から血を流し、目からは涙を流している。
『わがままを言ってごめんなさい。本当にごめんなさい』
マリはずっとずっと謝っていた。
つづく