
ヒマリとツキハはオコジョの子と長老猿を説得できなかった。決勝開始の時間が近付いていた。
二人が戻ると、ユウヤはハルトたちと一緒にスキーの手入れをしていた。
「あっ、戻ったんだ」
ユウヤが二人に気付いてそう言った。
「うん。何をやっているの?」
ヒマリが訊ねた。
「ああ、お昼になって気温が上がって来たからスキーの滑走面をチェックしていたんだ。ツキハ、ヒマリはWAXのことを知らないから見てやってくれない?ブラシと固形WAXはこれを使っていいから。ウチの親父の差し入れ、結構イイWAXだぜ」
ユウヤは使い終わった道具を片付けた。
「いいけど・・・」
ツキハはユウヤから道具を受け取った。
「オレはハルトたちと先にスタートエリアに行くよ。じゃあ、後でな、ヒマリ」
ユウヤはそう言ってハルトたちとリフトに向かった。
「うん」
ヒマリはそう応え、軽く手を上げた。
ヒマリはハルトたちと一緒に遠ざかって行くユウヤの背中を見ていた。
「ユウヤ、どうしたんだろう?」
ヒマリはユウヤの態度が普段と違うことに気付いた。
つづく