『その考えも理解はできる。しかし、無理じゃな』
長老猿が断った。
『ヒマリとこの子だけならいいけど、他の人間は嫌だよ。怖いから』
オコジョの子も断った。
『人間の前に姿を見せるなど、到底オコジョにはできないことだ。なぜ、オコジョが減ったと思う』
長老猿が二人に訊ねた。
『山がスキー場になって棲み処がなくなったから?』
ヒマリが答えた。
『それもあるがそれだけじゃない。もっと深刻なことがある』
長老猿は次の答えを求めた。
『もしかしたら人間に狩られてしまったの?』
次はツキハが答えた。
『そうだ。お前の方が賢いな。オコジョは山の神の使いとして人間に大事にされた頃もあった。しかし、白い毛皮が高く売れると分かったら、人間たちは必要もないのに毛皮を剥がして売るようになった。殆どが人間に狩られたんじゃよ』
長老猿はそう語った。
『でも、前はそうだったかも知れないけど、今は人間だってそんな酷いことしないよ』
ヒマリは反論した。
つづく