7.5 心のメタモルフォーゼ! ①

 オコジョが棲む森の中のゲレンデは、大会で使うキッカーのあるゲレンデの横にあった。ヒマリとツキハはスキーで滑りながら森の中の大木まで進んで行った。ゲレンデでは他のスキーヤーやスノーボーダーも滑走していたが、それほど多くなかった。

 

 二人は大木の傍の小さな鳥居の近くで止まった。

 

『ねえ、話しがあるんだ。お願いだから出て来て』

 ヒマリはオコジョの子を呼んだ。

 

『こっちへ来い』

 という声がヒマリに届いた。

 

 ヒマリはツキハを連れて声がする方に進み、途中でスキーを外して木々が密集する中を歩いて行った。すると木々が激しく揺れた。

 

『どうして他の人間がいるんだ!』

 厳しく怒った声がヒマリに届いた。

 

『ツキハって言うんだ。味方だよ。彼女も森を守りたいと思っているし、他の人も紹介してくれたんだ。ウソじゃないよ』

 

 すると木々の揺れが収まり、長老猿とオコジョの子が姿を見せた。

 

 

  つづく

 

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