「仕方がないよ。コーチがカンカンに怒っていて捕まったら絶対に叩かれるって思ったから、必死だったんだよ」
ヒマリが小さな声で弁解した。
「だからって、屋上から飛び降りないだろ。普通は死ぬぞ!」
ユウヤが厳しい目でヒマリを睨んだ。
「へー、普段からヒマリくんってそんな感じなんだー」
ツキハは笑顔だった。
ほぼ食事を終え、ヒマリたちは午後の競技開始までレストランの席で寛いでいた。遊び足りていない者は食器の載ったトレイを片付け、ヒマリとユウヤに応援の言葉を掛けてからゲレンデに出て行った。
そこにMCのケータさんがヒマリを訪ねて来た。
「ここだったんだね。ヒマリ君、ちょっといい?」
「あっ、はい。大丈夫です」
ヒマリの答えを確認し、彼は空いていたヒマリの向かいの椅子に腰を下ろした。
「予選のダブルバックフリップ、驚いたよ。それで、朝聞いたキミの決意が本物だと思って、決勝の前に少し話したいと思ってね。どうして森を無くしたくないんだい?」
彼はヒマリに理由を訊ねた。
つづく