青空の下で行われているスキービックエア競技も午前の予選を終え、午後の決勝までの休憩時間になっていた。
ヒマリとユウヤは家族と別れ、ゲレンデに隣接するホテルのレストランで体操教室の仲間たちと昼食場所に向かった。テーブルの上には体操教室の予約席と書かれた札が置いてあるが、ユウヤがコーチに頼んでツキハの席も用意され、一緒にお昼を食べようとしていた。
みんなが席に着いた所でユウヤが立ち上がった。
「最初に言っておく。オレはマザコンじゃない!あの選手紹介、親が勝手に書いた内容だから」
ユウヤは真剣な顔で強く主張した。
「えっ、違ったの?つまんねー」
とある男子が言った。
「ユウヤくんがマザコンの筈ないじゃん」
とある女子が言い返し、それに続く女子の声が多数派となった。
「はい。まあ、それはそれとして。ユウヤくんもヒマリくんも決勝進出おめでとう!この体操教室のコーチとして誇らしいよ。午後の決勝も頑張って!」
少し離れた席にいた年配のコーチが立ち上がって二人を労った。
「二人ともスゴイけど、体操って、スキーと技の共通点があるんですね?」
一人の女子が訊ねた。
つづく