選手紹介のアナウンスを聞いて、ツキハがスタート地点を向いた。
「男子の優勝候補が飛ぶよ!」
ツキハがそう言うと、ユウヤもヒマリも注目した。
その選手がビックキッカーに向かってスタートを切った。
身体を捻った状態からスピードに乗って踏み切り、今大会で一番と思えるほど大きく飛び上り、捻りを一気に解放した勢いのままに縦軸で2回転をしながら横軸で3回転をして着地した。
「ダブルコーク1080!決まったー!!・・・得点は96点。ジュニアには負けられないと大人の意地を見せたー!」
アナウンスが技と得点を伝え、会場は今日一番の歓声で沸いた。
「面白そー。2回宙返りをしながら3回捻りをするんだ。2本目も飛ぶかな?」
ヒマリはワクワクしていた。
「きっと2本目も飛ぶよ。ヒマリくんなら、ダブルコークも直ぐに出来ちゃいそうだね」
ツキハは笑っていた。
ヒマリとツキハが仲良く話している様子を、ユウヤは親とふざけて見ていないようで時々視線を送り、内心はとても気になっているようだった。
つづく