7.3 約束のエアターン! ④

 ユウヤが2本目のスタートを切った。

 

「ユウヤ選手、先ほどと同じようにカービングをして、今度はキレイに踏み切ったー、高~い、スプレッドイーグルからのー、両手でスキーをグラブしながら身体を折り曲げてコザック、決めた―!いやー高さがあって、スピンをしない複合技としては完成度が高かったです。・・・得点は63点、伸ばして来たー」

 

 着地後、ユウヤは黄色い声援を浴びせられ、ガッツポーズを決めた。

 

 ジュニアとオープンの予選が終了し、ジュニア女子ではツキハが優勝、ミスズが準優勝、ジュニア男子は、ヒマリ、ハルト、ミコト、ユウヤの順で4人が決勝進出だった。

 

 

 会場では公式戦の予選となり、ヒマリ、ユウヤ、ツキハの三人は、ヒマリとユウヤの家族が待つキッカーの横で観戦した。ツキハはその場所に何のわだかまりもなく、以前から親しかったように、自然に温かく迎えられていた。

 ツキハはジュニア女子での優勝を称えられ、ヒマリは2回宙返りを褒められていた。ただ、ユウヤだけは選手紹介で読まれた内容が納得できず、激しく親に悪態を吐いていた。その様子を笑いながらヒマリとツキハが見ていた。

 

 

  つづく

 

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