「さて、次はジュニア男子です。一番スタートはヒマリ選手。好きな食べ物はマグロ、好きなものは、昼寝?」
ヒマリがスターターの合図を受けてスタートした。
「身体を小さく小さくして、踏み切って飛んだー!!これは大きい。そして1回転、2回転?えっ、ダブルバックフリップ!スゴイ!着地も決めたー!これはいきなり高得点が期待されますね。・・・88点、本当にスゴイとしか言えません。身体はジュニアですがジュニアのジャンプじゃありません」
着地エリアを取り囲む観戦エリアの最前列にいる体操教室の集団だけでなく、会場全体から驚きの声が上がった。ヒマリの母はユウヤの母とハイタッチをし、それから大声を上げながらヒマリに向かって大きく手を振った。ヒマリは恥ずかしそうに小さく手を上げて歓声に応えた。
そんなヒマリを森からオコジョの子と長老猿が見ていた。
『スゴイ、スゴイ。飛びましたよ、長老。ムササビみたいです』
オコジョの子は興奮気味だった。
『うーん。あの猫憑きの人間、口だけではなかったな。なかなか見事じゃった』
長老猿は感心して頷いている。
つづく