場内アナウンスで、キッカーの踏切位置から着地位置までの平らになっているテーブル部分の長さと、想定飛距離が紹介された。
スモールキッカー、テーブル3m、飛距離5m
ミドルキッカー、テーブル8m、飛距離13m
ビックキッカー、テーブル13m、飛距離18m
ゲレンデ上部の選手が待機しているスタートエリアから着地エリアまではネットで囲まれて立ち入り禁止になっている。公式練習とは違い、スタートエリアから係員に呼び出された選手だけが使用するキッカーのスタート位置に立つ。その瞬間、その空間はたった一人の選手だけのものになる。
係員が一番目の選手を呼び、MCのケータさんが選手紹介を始めた。
「一番スタートはミスズ選手です。好きな食べ物は焼肉と牛丼、好きなものはジャニーズなら誰でもOK。肉食系ですね。さあ、1本目、がんばってください」
「ヤダー、もう、こんなの聞いてない!」
位置についた彼女は、そうボヤキながらスタートを切った。
彼女はミドルキッカーを力強く踏み切り、スキーをクロスしながら1回転の宙返りをした。
つづく