大会の観戦エリアは幾つかあり、朝から既に人が集まっている。体操教室では大会で使用しないスキー場内の他のゲレンデを使ってレッスンを行う予定だが、希望者はコーチ数名と一緒に仲間が参加する大会の観戦を許された。体操教室の集団はユウヤを応援する女子を中心に、ジャンプ後の着地エリアを囲む場所の最前列に固まっていた。
ヒマリとユウヤの家族が観戦する場所は、スタートからジャンプまでを見通せるキッカーの横だった。観戦エリアに指定されているが、一般開放されているゲレンデの一部をネットと規制テープで仕切った場所で、滑りながら見物しているスキーヤーやスノーボーダーも多くいた。父親たちはベストポジションに三脚を立て、カメラのセッティングに余念がなかった。
そのヒマリとユウヤの家族から見て、ジャンプする3種類のサイズのキッカーが小さいものから奥の方にキレイに横に並んでいる。キッカーの更に奥がオコジョの森と呼ばれるゲレンデで、木々の影から長老猿とオコジョの子が人間に見つからないように様子を見ていた。
つづく