「ヒマリくん、こちらが大会の司会進行と実況をするMCのケータさん。お父さんの知り合いのプロスキーヤーで、私もたまに練習を見て貰っているの。それに以前はオコジョの森が無くなるのを反対していたのよ」
ツキハは小柄でがっしりした男性を紹介した。
「はじめまして」
ヒマリは挨拶した。
「やあ。ツキハから聞いたよ。優勝してオコジョの森を無くさないように、社長に頼むんだって?」
彼は日焼けで真っ黒な顔をにこにこさせていた。
「はい」
ヒマリは強く答えた。
「そうかー。じゃあ、期待しているねー」
その男性は軽い気持ちでヒマリに向かって右手の親指をグッと立てた。
大会直前の短い公式練習が始まると、ヒマリたち三人の所にハルトが近付いて来た。そして何も言わずに頭を下げた。
「昨日は無神経なことを言って悪かった。改めて謝る」
ハルトは昨日と違って、ちゃんと謝った。
「本当にごめん。ハルって、こういうの鈍くて」
近くにいるミコトがフォローする。
「もう気にしてないから、いいよ」
ヒマリが応えた。
「うん。一気に色々と分かって混乱したけど、もう大丈夫」
ツキハが続いた。
つづく