凜とした青空が広がる3月後半の日曜日の朝、スキービックエア競技の大会当日を迎えた。まだゲレンデには多くの雪が残っている。気温は低め、風も穏やかな天気予報だった。
スキー場のリフト券売り場の横には掲示板があり、これから開かれる大会のスケジュールが掲載されている。
大会スケジュール
8:15 公式練習
9:00 開会式
9:30 予選開始
13:00 決勝開始
15:30 表彰式
そのスケジュールの横には『クマ出没注意!』の張り紙が急遽貼られていた。
その日は、早朝からヒマリとユウヤの家族も日帰りで応援に駆け付けていた。ヒマリとユウヤは公式練習が始まる前に家族と会い、昨年の夏にウォータージャンプに行った後で、ヒマリの事故相手が一緒に遊んだ女の子の父親であると、親たちがきちんと説明しなかったことを謝られた。
ヒマリとユウヤは特に怒ることもなく親の話を聞いた。ただ、黙って許した訳ではなく、今日の大会で活躍したら『ご褒美を買って貰う』という約束を取り付けた。
ヒマリとユウヤが公式練習に向かおうとするとツキハが急いで近付いて来た。
「ヒマリくん、ちょっといい?」
ヒマリはツキハに連れられて、大会本部が設営されているテントに来た。
つづく