『黙って見ていれば、わたしの血を引く子に何をするんだい?これ以上はクマだろうとわたしが許さないよ!』
三毛猫の霊はみるみる大きくなり、ツキノワグマと同じぐらい大きな化け猫となった。
『どこの化け猫か知らんが、この土地で好き勝手できると思うなよ。こちらには山の神様が付いておるのじゃ!』
長老猿は化け猫を見ても全く怯まなかった。
ツキノワグマも全く退かず、化け猫と激しく睨み合った。
『おやめなさい!』
静かに鋭く響く声が森の方から聞こえて来た。
『これは山の神様』
長老猿が振り返り、森の方を見た。
森の中で一際大きな大木が薄っすらと光っているようだった。
『この山で生を受けた子たちよ、あなた方の気持ちはとても嬉しい。それに森を守りたいという行動は誇らしい。感謝しています』
動物たちはみんな森の大木の方を見た。
『勿体ないお言葉です』
長老猿はそう応えた。
つづく