6.3 オコジョの森を賭けた子猫の誓い ②

 

『明日のお祭り、誰が一番上手に飛べるか競争です。その競争に勝ったら人間の偉い人と話ができます。だから、それまで待ってください。競争に勝って、森を残して欲しいって、みんなの願いを伝えるから!』

 ヒマリは必死に頼んだ。

 

『お前のようなチビが何を言うんだ。そこをどきな!』

 

『嫌だ!通さない!』

 

『なんだと!身の程を知らない猫め。クマの旦那、こんな生意気な奴に構わず、このまま進んでおくれ』

 長老猿はヒマリを相手にしなかった。

 

 ツキノワグマは腕を上げ、それをヒマリに向かって構わずに振り下ろした。

 

 ヒマリは雪に足を取られ、ギリギリの所でクマの手を躱した。そして再びツキノワグマの前に回った。

 

 ツキノワグマがもう一度腕を上げると、三毛猫の霊がヒマリの前に姿を現した。

 

『マリはいつも向こう見ずだね。でも、偉かったね』

 三毛猫の霊がヒマリに言った。

 

『おばあちゃん?』

 ヒマリはいつも夢で見ている三毛猫だと分かった。

 

 

   つづく

 

【目次】【前話】【次話】