『明日のお祭り、誰が一番上手に飛べるか競争です。その競争に勝ったら人間の偉い人と話ができます。だから、それまで待ってください。競争に勝って、森を残して欲しいって、みんなの願いを伝えるから!』
ヒマリは必死に頼んだ。
『お前のようなチビが何を言うんだ。そこをどきな!』
『嫌だ!通さない!』
『なんだと!身の程を知らない猫め。クマの旦那、こんな生意気な奴に構わず、このまま進んでおくれ』
長老猿はヒマリを相手にしなかった。
ツキノワグマは腕を上げ、それをヒマリに向かって構わずに振り下ろした。
ヒマリは雪に足を取られ、ギリギリの所でクマの手を躱した。そして再びツキノワグマの前に回った。
ツキノワグマがもう一度腕を上げると、三毛猫の霊がヒマリの前に姿を現した。
『マリはいつも向こう見ずだね。でも、偉かったね』
三毛猫の霊がヒマリに言った。
『おばあちゃん?』
ヒマリはいつも夢で見ている三毛猫だと分かった。
つづく