6.2 山の動物たちの反乱計画 ⑤

『いいぞ、いいぞ!』

『オラもやるぞ。人間に一泡吹かせてやる』

 鹿やイノシシが応えた。

 

『それだけじゃ終わらないよ。人間が山に登れないように乗り物も壊す。だが、硬くて丈夫なものは壊せない。だから手分けをして乗り物を動かす電線を噛み切ってやるんだ。猿たちは分かれて乗り物を壊す指揮を執っておくれ』

 

『長老、任せて下さい』

 猿の集団の中のボスが応えた。

 

『やるぞ、やるぞ!』

『あっちもこっちも齧り捲ってやる!』

 ウサギやリスも張り切っていた。

 

『さあ、みんな、人間に支配などされて溜まるものか。山の動物の怖さを人間に思い知らせてやるよー!』

 

『おおぉーー!おおぉーー!!』

『ウォーー!ウォーー!!』

『キー!キー!キー!!』

 地から響くような歓声だった。

 

 長老猿を肩に乗せたツキノワグマを先頭に、動物たちの集団が森からキッカーのあるビックエアの大会会場に向かって進み始めた。

 

 動物たちが神木と崇める常葉樹の大木は、枝葉を揺らしもせず、静かに動物たちを見送っていた。

 

 

  つづく

 

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