『いいぞ、いいぞ!』
『オラもやるぞ。人間に一泡吹かせてやる』
鹿やイノシシが応えた。
『それだけじゃ終わらないよ。人間が山に登れないように乗り物も壊す。だが、硬くて丈夫なものは壊せない。だから手分けをして乗り物を動かす電線を噛み切ってやるんだ。猿たちは分かれて乗り物を壊す指揮を執っておくれ』
『長老、任せて下さい』
猿の集団の中のボスが応えた。
『やるぞ、やるぞ!』
『あっちもこっちも齧り捲ってやる!』
ウサギやリスも張り切っていた。
『さあ、みんな、人間に支配などされて溜まるものか。山の動物の怖さを人間に思い知らせてやるよー!』
『おおぉーー!おおぉーー!!』
『ウォーー!ウォーー!!』
『キー!キー!キー!!』
地から響くような歓声だった。
長老猿を肩に乗せたツキノワグマを先頭に、動物たちの集団が森からキッカーのあるビックエアの大会会場に向かって進み始めた。
動物たちが神木と崇める常葉樹の大木は、枝葉を揺らしもせず、静かに動物たちを見送っていた。
つづく