公園の街灯の上で一羽のカラスが羽を休めていた。
『ねえ、カラスさん、この公園ができる前のことって知っている?』
ヒマリはカラスに話し掛けた。
『おや?面白い、儂と話せる人間がいるのか。知っているとも、ススキが茂った林だったよ』
カラスはそう答えた。
『ここがそうだったのか、分からない訳だ』
茶トラの猫が言った。
『それなら最近、この公園に小さなネズミの家族が来なかった?』
ヒマリが再びカラスに訊ねた。
『ああ、カヤネズミの家族か。あれは悲惨だったな』
カラスは公園で起こったことを話し出した。
カヤネズミの家族はススキがなくなった公園に来て、途方に暮れていた。もう行く当てもなく、しばらく公園の片隅でひっそりと隠れて暮らすつもりだった。
しかし、ある時、公園の近所に住む人間に見つかってしまった。
その人間はネズミが自分の家に来て、棲みつかれないようにと公園にワナを仕掛けた。雑木林で暮らしていたカヤネズミにワナの知識などなく、みんな捕らえられてしまった。
つづく