6.1 棲み処を失ったカヤネズミの家族 ⑥

 公園の街灯の上で一羽のカラスが羽を休めていた。

 

『ねえ、カラスさん、この公園ができる前のことって知っている?』

 ヒマリはカラスに話し掛けた。

 

『おや?面白い、儂と話せる人間がいるのか。知っているとも、ススキが茂った林だったよ』

 カラスはそう答えた。

 

『ここがそうだったのか、分からない訳だ』

 茶トラの猫が言った。

 

『それなら最近、この公園に小さなネズミの家族が来なかった?』

 ヒマリが再びカラスに訊ねた。

 

『ああ、カヤネズミの家族か。あれは悲惨だったな』

 カラスは公園で起こったことを話し出した。

 

 

 カヤネズミの家族はススキがなくなった公園に来て、途方に暮れていた。もう行く当てもなく、しばらく公園の片隅でひっそりと隠れて暮らすつもりだった。

 しかし、ある時、公園の近所に住む人間に見つかってしまった。

 

 その人間はネズミが自分の家に来て、棲みつかれないようにと公園にワナを仕掛けた。雑木林で暮らしていたカヤネズミにワナの知識などなく、みんな捕らえられてしまった。

 

 

  つづく

 

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