『お前の願いは聞いたぞ。人の子を呪い、憎い相手も付き纏って家から追い出してやった』
狐の霊が三毛猫の霊に得意気に言った。
『でも、どうしてわたしの血を継いだ子猫まで。・・・この子は、このまま死んでしまうの?』
納得できない三毛猫の霊が訊ねる。
『どうしてだって?当然だろう。因果は廻りまわって還るものだよ」
狐の霊は素っ気なく答える
『そんな・・・』
『お前から見れば、あの人間は悪そのもので、憎くて憎くて仕方がないだろう。
しかし、飼える数にも、貰い手にも限りはある。大きく育ってから捨てれば生き抜けるだろう。しかし野良猫となり駆除されたかも知れない。あの頃は去勢手術ができる病院はなかったが、野犬や野良猫の始末など当たり前だったからね。
あの人間は、生まれたばかりで目が開かない子猫を、自らの手を汚して命を奪った。罪深いと分かりつつ、余裕がないから鬼になって間引きをしたのさ。
お前を保健所に出したことを含め、確かに酷いことだ。恨まれても仕方がない。だから罰を受けて当然だ。しかし、子々孫々まで呪うほど悪いことなのかね?
つづく