5.4 廻りまわって因果は還る ③

『お前の願いは聞いたぞ。人の子を呪い、憎い相手も付き纏って家から追い出してやった』

 狐の霊が三毛猫の霊に得意気に言った。

 

『でも、どうしてわたしの血を継いだ子猫まで。・・・この子は、このまま死んでしまうの?』

 納得できない三毛猫の霊が訊ねる。

 

『どうしてだって?当然だろう。因果は廻りまわって還るものだよ」

 狐の霊は素っ気なく答える

 

『そんな・・・』

 

『お前から見れば、あの人間は悪そのもので、憎くて憎くて仕方がないだろう。

 しかし、飼える数にも、貰い手にも限りはある。大きく育ってから捨てれば生き抜けるだろう。しかし野良猫となり駆除されたかも知れない。あの頃は去勢手術ができる病院はなかったが、野犬や野良猫の始末など当たり前だったからね。

 あの人間は、生まれたばかりで目が開かない子猫を、自らの手を汚して命を奪った。罪深いと分かりつつ、余裕がないから鬼になって間引きをしたのさ。

 お前を保健所に出したことを含め、確かに酷いことだ。恨まれても仕方がない。だから罰を受けて当然だ。しかし、子々孫々まで呪うほど悪いことなのかね?

 

 

  つづく

 

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