「じゃあ、そろそろ病院に行くから。この家にツキハが来たら遊んであげてね。またね」
白い老猫は、まるでその女性を安心させるように柔らかな鳴き声で応えた。
三毛猫が住んでいた所には、もう小さな家がなく、大きな家に建て替えられていた。玄関前に柴犬が住む犬小屋はあったが、庭にあった鳥小屋やウサギ小屋はなくなっていた。
南から陽ざしが注ぐ広い縁側では、二匹の猫が並んで座ってテラス窓から外を眺めていた。縁側が猫の棲み処にされているようだった。
一匹は、三毛猫から生まれた年老いた白黒の猫で、もう一匹は白黒の猫と血の繋がらない去勢された茶トラのオス猫だった。茶トラの猫は元々捨て猫で、野良猫としてエサを貰いに来て、居心地が良くて居着いてしまったようだった。猫としてはとても図々しい性格でお調子者だった。
そこに白い子猫が貰われて来た。
つづく