更に時が過ぎていた。三毛猫の住んでいた家とは違う洋風の家だった。
リビングの隅に前面の蓋が半開きになった水色のスタックボックスがあった。その横に丸いクッションが置かれ、その上に歳を取った白い猫が座っていた。
そこに、とてもキレイで痩せ気味の女性が近付いて来た。彼女は、三毛猫の飼われていた小さな家で白い子猫を抱いた女の子が成長した姿をしていた。
女性は座っている白い老猫の頭を撫でた後、スタックボックスの蓋を上げて中を覗いた。ボックスの中には、若い別の白い猫と、目がくりくりで毛がふわふわの白い子猫がいた。子猫はおっぱいを飲んでいた。
「お食事中だったのか。ごめんね」
その女性は中の二匹の猫に謝った。
「ねえ、この子の貰い手、決まったの?」
女性は向きを変えて、キッチンの方に声を掛けた。
奥から返事が返って来る。
「そうなんだ。じゃあ、もう乳離れしないとね」
と女性は返事を聞いて呟き、
「おばあちゃんの家に行くのか。世代を超えた里帰りなんて、良かったね」
と向き直って白い老猫を見つめると、再び頭を優しく撫でた。
つづく