『まだ連れて行かないで!まだ私が育てるから』
母猫は思わず女性の手に爪を立ててしまった。
女性は声を上げて痛がり、傷付いた手を引っ込めた。
すると、今度は男性が怒り、段ボール箱から飛び出るぐらいの勢いで母猫の頭を右手で叩いた。
『痛い!痛い!痛い!』
気を失うぐらいの痛みで、左耳が聞こえなくなっていた。
それでも必死に堪えて抵抗したが、四匹の内の三匹が紙袋に入れられ、男性に連れて行かれてしまった。
男性は子猫を入れた紙袋を手に持ち、軽トラックに乗り込んだ。母猫は残された一匹の子猫を気遣いながらも、連れて行かれた子猫の危機を感じ取り、軽トラックの後を追うことにした。
つづく