「あれだけ運動神経が抜群なら勉強なんてどーでもいいよ。十分カッコイイもの。学校や体操教室でもモテるでしょ」
ツキハが意地悪そうに言った。
「ボクがカッコイイ?モテる?ユウヤと違ってモテないよ」
ヒマリは不思議そうな顔をした。
「そんなことはないと思うけどなぁ」
「それに、モテたいとも思わないよ」
「モテたくないの?そうなんだ。もしかして誰か好きな人いるの?」
ツキハは一度ヒマリの顔をじっと見て、直ぐに視線を外した。
「えっ、うん。まぁ・・・」
ヒマリも視線を外して口籠った。
その頃、ユウヤがロビーに向かって歩いて来ていた。
「そっか。ヒマリくんって好きな子がいるんだー。残念だなぁー」
ツキハの声を聞いてユウヤは足を止め、その場に立ち止まった。
「残念?」
「私、ヒマリくんのこと好きだよ」
ツキハはそっと目を逸らしたまま言った。
「ボクのことが?」
ヒマリはツキハの顔を見た。
つづく