「ふざけるな!お前!」
ユウヤはハルトの胸ぐらを掴んで怒鳴った。
そこにミコトが慌てて駆け付けた。
「止めなよ!どうしたの?」
長身で身体が大きいミコトがハルトとユウヤの間に割って入った。
「俺は何も悪くない。加害者の娘と被害者なのに仲がいいなと言っただけだ」
ハルトは何が悪いのか理解していなかった。
「えっ!!コーチがさっき言ってたこと話しちゃったの?コーチだってペラペラ話すなって言ってたじゃない。それがダメなんだよ!」
ミコトがハルトを窘めた。
「内緒のことだったのか?」
ハルトが首を傾げた。
「この様子だと知らないことだったんだよ。知らない方がいいこともあるんだよ」
ミコトがハルトを諭した。
「そうか。それは悪かったな。ごめん」
ハルトが向き直って頭を下げた。
「本当にごめん。ハルってこういう性格で」
ミコトも頭を下げた。
ユウヤが振り上げた拳を下して震えている。ヒマリは固まったまま立ち尽くしていた。そしてツキハはその場に泣き崩れていた。
つづく