遅めの昼食時間の後で一度整備が入り、公式練習が再開された。
練習を重ねて中キッカーにも慣れ、三人それぞれが技の精度を上げていた。ヒマリはスキーを掴んだ状態で2回転ができるようになっていた。
三人が中キッカーの待機列で待っていると、その後ろにハルトが来た。
「お前たち三人って随分と仲がいいな」
後ろに並んだハルトが全く愛想のない表情で言った。
「そう見える。そうかも。ハルトたち三人も仲良しじゃない」
ツキハが振り向き、ゴーグルをヘルメットに掛けて笑顔で答えた。
「ああ、俺たちは付き合いが長いからな。でも、ツキハ、お前は父親が起こした事故の相手と一緒に居ても、平気なんだな?」
ハルトが淡々と話した。
「えっ?なんで?」
ツキハの声は震えていた。
「おい、お前、いい加減にしろよ!」
振り向きざまにユウヤが大きな声を上げた。
「事故の相手って何?」
ヒマリはピンと来ていないようだった。
「なんだ。知らなかったのか、お前が遭った事故の加害者がツキハの父親だ。ウチのコーチはツキハの父親と付き合いが古いから、事故のことを知っていて、お昼に確認をしていた。それをさっき聞いた」
ハルトは何の悪気もなくヒマリに答えた。
つづく