「そうそう、オレってヒマリと一緒にお風呂から出て来た所でさ、飲み物を買いに来たんだ。大浴場の前の自動販売機、飲みたいのが売り切れで」
ユウヤは話を変え、その場から立ち去ろうとした。
「じゃあ、私も飲もうかな」
「えっ?」
予想外の答えにユウヤは戸惑った。
「あっ、ごめん。お金を持って来てなかった」
「それなら奢るよ。ジャンプのレッスンをして貰ったし」
「いいの?ありがとう」
二人はロビーの端にある自動販売機で飲み物を買った。ユウヤが欲しかった飲料がこちらの自動販売機で×印か否かは定かでないが、二人は飲み物を買ってからロビーのソファーに腰を下ろした。
「今日は大変だったと思うけど、大丈夫?」
ユウヤは正面を向いたままツキハに尋ねた。
「うん。もう大丈夫」
隣に座るツキハも正面を向いたまま答えた。
「良かった。そうそう。ヒマリってさー、ミルク入りの飲み物が好きで、さっきもミルクティーを買って美味しそうに飲んでた」
「そうなんだ。ヒマリくんと本当に仲がいいね。いつから仲がいいの?」
「オレとヒマリの家って、直ぐ近くなんだ。道を挟んで反対なんだけど。親もずっと前から知り合いだったみたいだから、多分、生まれた時からだと思う。
つづく