「私もそう思う。だけど、一度決まったら簡単には止められないって、お父さんが言ってた」
ツキハが大人の事情を代弁した。
「ボクたちじゃ、どうにもできないよね」
ヒマリが小さく言った。
「そうだな・・・」
とユウヤが続いた。
「でも、明後日の大会に優勝したら、その場で社長に頼めるかも?」
ツキハが思い付きを口に出した。
「えっ、どうして?」
ヒマリが尋ねた。
「毎年行われている大会なんだけど、ジュニア部門の優勝者にも賞状と賞品が出る。その賞状や賞品を渡す人って、このスキー場とホテルを経営している社長なの。優勝インタビューもあるから、ダメで元々で直談判できるかも?」
ツキハは考えを整理しながら二人に提案した。
「いいね、それ。無下にダメとは言えないだろうし」
ユウヤは笑顔でその提案に乗った。
「簡単に言うけど、そもそも誰が優勝するの?」
ヒマリは渋い顔で二人に言った。
ツキハとユウヤはヒマリに指を向けた。ヒマリの顔は更に渋くなって行った。
つづく