3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ②

「どうしたの?ヒマリくん」

 離れた所から大きな声でツキハが呼び掛けた。

 

「なんでもない!」

 ヒマリはしゃがんだまま振り向いて大きな声でツキハに応えた。

 

『ねぇ、話があるなら場所を変えようよ』

 ヒマリがオコジョに言った。

 

『分かった。付いて来て』

 オコジョはそう応えると森のある方へ走って行き、ヒマリも立ち上がった。

 

「ツキハ、ユウヤ、ちょっとトイレに行って来る」

 ヒマリはそう言って、スキーでスケーティングをしながら後を追った。

 

 白いオコジョの姿はゲレンデの雪に溶け込み、ヒマリ以外には見えないようだった。ツキハは森の方に向かうヒマリを見ていた。

 

「ユウヤくん、ヒマリくんって左耳が聞こえないんだよね?」

 ツキハが近くにいたユウヤに尋ねた。

 

「そうだよ。どうして?」

 

「さっき、とても小さな鳴き声が聞こえたんだけど、ヒマリくんが左側で反応してたの。それに、しゃがんでいる時も左耳で何かを聞いているようだった」

 ツキハは不可解に思えたヒマリの行動をユウヤに尋ねた。

 

「そっか。・・・」

 ユウヤは迷った。

 

 

  つづく

 

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