ヒマリたち三人は、昼間練習をした小さめのキッカーに向かった。
ナイターの灯りに照らされると、小さいキッカーでも立派に見える。ただ、小さいと言っても、ポコジャンと呼ばれる雪の小山ではなかった。
リップと呼ばれる飛び出し口までレーンが反り返るように作られており、そこからストンと落ちた所はテーブル状で、その先に着地の衝撃を逃がすための角度のキツイ傾斜が作られた立派なジャンプ台だった。
このため公式戦に出場するような選手では練習にならないが、オープンクラスやジュニア部門ならば十分に練習になる。
三人がキッカーの近くまで来ると、既にフリースキーヤーやスノーボーダーが十数人も集まっていた。
飛び終わった者は、スキーやスノーボードを外し、道具を担いで歩いて斜面を上り、スタート位置より上に並んでいる。普段ならスキーとスノーボードで半々ぐらいなのだろうが、スキービックエアの大会前のためかスキーヤーの方が多かった。
「あれ?昼間より人がいるんだ」
その様子を見て、ユウヤが自信なさげに言った。
「やっぱり大会前だから特別かも。あっ、あの三人も来てる」
ツキハがスタート位置を見て声を上げた。
つづく