「あっ、ボク、左の耳が聞こえないから」
ヘルメットを脱ぎながらヒマリが続けて言った。
「ごめんなさい。・・・とてもキレイなジャンプだなぁと思って」
少女はヒマリに謝った。
「ありがとう。でも気にしてないよ。今日は初めてスキーをしたんだ」
「私はツキハ。初めてのスキー?キミ、センスいいよ」
「ボクはヒマリ。スキーもジャンプも好きだけど、泳ぐのは苦手だな」
ヒマリが笑顔で応えた。
「そうだな。ヒマリは運動の中で、唯一水泳だけはダメだからな」
ユウヤは大急ぎでプールを泳ぎ切り、上りながら話した。
「でも、ジャンプはスゴク良かった。思わず、声を掛けちゃった」
その声にツキハが返した。
「ヒマリの運動神経はメチャクチャなんだ。オレ、ユウヤ、よろしく!」
プールから上がったユウヤは笑顔で挨拶した。
「私はツキハ。よろしく。ここにはよく練習に来るけど、二人とも初めてだよね」
「ああ、初めて。でも、オレはヒマリと違ってスキーが結構できるし、スキー場でも小キッカーならよく飛んでいる」
ユウヤは得意気に答えた。
「へぇー、そうなんだ」と言ってツキハはニヤリとし、
「ねぇ、二人ともそれだけ飛べるなら、もっと大きいのを飛ぼうよ!」
と続けた。
ツキハは施設の反対側にある大きなジャンプ台の方を指さした。
つづく