駐車場から続く坂の下まで母親たちが降りて来た。施設の受付でスタッフに確認すると、ウォータージャンプは遊園地のアトラクションの一部ではなかった。
ただ、ユウヤは遊園地のプールよりこちらが良いと言い張り、ヒマリも同調した。
母親たちは施設を眺め、屋根のある観客席があることを確認した。続いて、スタッフから遊園地の花火大会がこの場所からでも見物できることを聞き、予定の変更を渋々了解した。
元々、彼女たちは遊園地のプールで泳ぐつもりはなく、遊園地がウォータージャンプに変わっても問題なかった。しかし、施設利用料の他に、スキーとブーツ、ライフジャケットにヘルメットなど用具一式のレンタル料が掛かることは想定外だった。母親たちは、施設の一番奥の椅子に腰を落ち着けた。日差しを浴びない代わりに、殆どジャンプの様子は見えない場所だった。
施設には助走距離と飛び出し角度が異なるレーンが幾つもあり、向かって一番右端の角度が緩いレーンで、ヒマリはユウヤから滑り方を習っていた。
ヒマリはスキーをハの字の状態に開いて停まっていた。
「じゃあ、滑りは大体できるようになったから、今度は端まで来たらジャンプしてみな」
ユウヤが大きな声でヒマリに言った。
つづく