「コイツ、マジで殴りたいんだけど」
そう言いながら、既にユウヤはポカポカとヒマリを手で叩いていた。
ヒマリは両手で頭を庇って更に小さくなった。
「まぁ、オレは参加してあげたいけど、まずコーチを説得しないと」
ユウヤは叩く手を止め、現実的な条件を上げた。
その後もしばらく三人で飛んだり滑ったりして、スキー場に隣接するホテルに引き上げた。
その様子をゲレンデ内の木の根元から一匹の白い小動物が目立たぬように見ていた。それは小さいオコジョだった。三人がホテルの中に入るのを見届けると、そのオコジョも森のある方へ走って行った。
風が吹き、ボロボロに破れた一枚のビラが飛んで来た。
『工事反対!!オコジョの森を守れ!』
そう書かれたビラはどこかに飛んで行った。
ツキハも同じホテルにお父さんと宿泊していた。三人は大会への参加許可を貰うために、スキーウェアのまま体操教室のコーチたちの部屋に向かった。
つづく