ツキハとユウヤが慌ててヒマリに近付く。
「ヒマリくん、大丈夫?」
ツキハが声を掛けた。
「大丈夫。コケた」
雪まみれになったヒマリはゆっくりと起き上がりながら答えた。
「いきなり回すなよ。プールじゃないんだから、大怪我するぞ!」
ユウヤは怒っていた。
「ウォータージャンプで回せていたから気持ちも分かるけど、そのスキーじゃ後ろ向きの着地はムリ!」
そう言ったのはツキハだった。
ツキハのスキーはツインチップと呼ばれるモノで、前後の先端が両方反っている。一方、ヒマリとユウヤのスキーは先端だけが反っていた。このため、ヒマリのスキーは反対向きに着地をすれば、雪に突き刺さってしまうデザインだった。
「ちょっと調子に乗っちゃった。でも楽しかった」
ヒマリは体中の雪を払いながら二人に言った。
「でも、やっぱりヒマリくんってスゴイよ!540が初スキーの初ジャンプなんて信じられない」
ツキハが興奮気味に言った。
「で、二人に相談があるんだけれど」
とゴーグル越しにキラリと目を光らせてツキハが続けた。
つづく