生まれつきヒマリの左耳は聞こえない。元々は心臓も悪かったが、今は丈夫になっていた。
ただ、小さい頃に事故に遭い、大きな外傷こそなかったが事故のショックから白髪に近い髪の色になってしまった。
そしてヒマリの左耳や身体には不思議なことが起こるようになっていた。
コースの下部には聳えるような大きな木があった。木の根の辺りは大きな岩がゴロゴロしていて、その上にうっすらと雪が被っている。その岩の隙間の奥から幾つかの小さな目が三人を見ていた。
『なにか変な気配だわ。人間じゃないみたい』
『どこ?仲間かな?』
『いいや、仲間でも味方でもないだろう』
ヒマリの左耳はそれに気付き、ヒマリはその声が聞こえた方を見た。
『えっ、、、』
『あのこ?』
『やはり聞こえるのか?』
そう言って小さな目は更に隙間の奥に潜って行った。
つづく