「活躍したと言えばそうかも。刀を構えるとカッコイイけれど、私を助けてくれた道澄さんのことが大好きで、やきもち妬きで、お酒が入るとまるでダメな人物に心当たりがないですか?」
私がセオリさんにそう言うと、少し思い出したようで顔が真っ赤になりました。
「えっ、夢に出て来た上杉輝虎が私だったの?自分ではそんな意識が全然なかった。でも輝虎が女性なんて、ちょっとオカシイよね?」
セオリさんが言いました。
「そんなこともないですよ。上杉輝虎の女性説は聞いたことがあります。それに、、この世界の歴史と夢の中の歴史が同じとは限らないですから」
道澄だった彼が応えました。
「道澄としての記憶も残っているなら、夢の中の上杉輝虎様はどんな人物でした?」
私は彼に訊ねました。
「夢の中で道澄の記憶を思い返した限りでは、輝虎殿は生まれながら身体に傷があって幼少の頃から四男として育てられたようです。ただ、実の父から疎まれて6歳でお寺に入門し、父が亡くなった後で家臣に担がれて還俗し、争いを治めるために武将の長尾景虎として生きることを決意したそうです。最強と言われる割に争いを好まず、優しくて義理堅く、大酒飲みなのが欠点の方ですね。それに、好みは…」
彼はそう話しを続けようとしました。
つづく